ソニーのパソコン事業売却の意味すること

2014年2月5日の日経新聞一面に「ソニー、パソコン売却へ」との報道。「ついにソニーもか」と思った方も多いのではないでしょうか。

ソニーはパソコン事業を投資ファンドに売却する方向で最終調整に入ったとのこと。タブレット(多機能携帯端末)の急速な普及で、ソニーのパソコン事業は苦戦続きの模様。スマートフォン(スマホ)を成長の柱に位置付ける戦略を鮮明にして、エレクトロニクス事業を立て直す。同社は1996年に「VAIO(バイオ)」ブランドでパソコンを発売。テレビやビデオなどの家電からIT(情報技術)分野に本格参入した。ピーク時に870万台を出荷したが、2013年度は580万台に減る見通し。

ソニーのパソコン事業には約1千人の従業員がいる。経営陣を含め多くが新会社に転籍、一部は配置転換などで対応するとのこと

但し、本件は交渉段階にあるとのことのため、交渉が決裂した際は、ソニーが売却する場合と同様にパソコン事業をスリム化し、スマホを手掛ける全額出資子会社ソニーモバイルコミュニケーションズに移管してスマホやタブレットとの連携で再生を目指す見込み。

IDCによると13年のパソコンの世界出荷台数は前年比10%減の3億1455万台だった。ピークだった11年から2年連続の減少。価格の安いタブレットなどと競合し、収益性も低下している。

振り返れば、2005年に米IBMが、同社のパソコン事業を中国のパソコン最大手、聯想集団に売却。売却額は当時で12億5,000万ドルで、中国企業による外国企業の事業の買収としては過去最大規模だった(現在はレノボというブランドで存続している)。IBMはこの後、企業向けサーバーや情報技術サービス事業に特化た結果、米国の時価総額ランキングでTOP10のポジションを確保している。

マーケットの急速な変化に乗り遅れたり、読み違いが起これば、大手といえども企業の存続にかかわる。問題は、こういった経営判断の影響を受けるのは労働者であること。事業の撤退によって、長年のキャリアをリセットする必要性や転籍などの選択が出てくるかもしれない。そして、この現象はソニーに限らずどの職場でも起こりうる。

現代の変化の時代には、我々は常に様々な変化を想定し「環境に適応できる」人材で有り続ける必要がある。そのためには、アンテナを高く張り巡らしながら、日々の業務に従事し、将来を見据えた準備も個人として怠ってはいけない。今、我々はそんな時代に生きているのです。

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