新たなリストラ時代の到来!

最近、日本の大手企業のリストラがじわじわと増えている。業績不振で今期の赤字見込みのソニーが約1000人の削減、音響・映像機器部門の売却に伴い国内外約1500人を削減するパイオニア、パソコン事業の赤字で900人を削減する東芝など。

目を引くのは赤字企業に限らないことだ。従来のリストラは赤字が深刻化し、せっぱ詰まってリストラに踏み切る企業が多かった。

例えば、東芝、パイオニアはいずれも2013年度決算は黒字。7月に40歳以上の社員1000人の削減を発表した日立化成も増収増益。2014年上半期(1-6月)に希望・早期退職者の募集実施を公表した上場企業のうち、エーザイ(応募396人)、三菱製紙グループ(200人)といった大手企業も黒字にもかかわらず、リストラを実施。

この背景には会社が儲かっている今こそ将来を見据えて不採算事業などの贅肉を削ぎ落とそうというもの。これを「構造改革型のリストラ」と呼んでいるそうですが、働く側からいえば「冗談じゃない!」。

これまでの、日本のリストラの代表的手法は「希望退職者の募集」。これは会社にとってのリスクも大きかった。手を挙げた人には退職加算金や再就職支援などの特典がつくが、優秀な人材の流出も発生しやすい。その証拠に、最近ノーベル賞を取った学者の方は元メーカーの研究員でしたよね。さらにマスコミを通じて社外に知られ、リストラ企業として社会的に注目を浴びるとともに、業績が悪いからと考える投資家がいて、経営へマイナスの影響を与えるというリスクもある。しかも退職勧奨しても辞めない社員を人事部付き、あるいは職種が違う部署に配転すれば、マスコミに「追い出し部屋」と騒がれ、社会的信用(CSR)を失うことすらある時代。

企業にとっては希望退職募集を行うよりは、リストラを常態化して毎年一定数の社員に辞めてもらうほうがはるかに効率的となります。欧米では一般的にはPIP(パフォーマンス・インプルーブメント・プラン=業績改善計画)と呼ぶ手法で定期的にリストラを実施している。基本的には人事評価が低い社員に改善目標を設定し、達成できなければ退職してもらうという仕組み。

この仕組みは、「縦軸に業績評価、横軸に行動評価を示すマトリックスを作成。業績、行動評価ともに高い人はAランク、業績は高いが行動評価が低い人はBランク、業績は低いが行動評価が高い人がCランク、業績、行動評価ともに低い人がDランクにそれぞれ分布される。PIPの対象となるのはDランクの社員。

人事には「社員の貢献度割合」を示す「2:6:2の法則」というのがあるそうです。集団を構成すると「優秀な社員が2割、普通の社員が6割、パッとしない社員が2割」というものですが、大体、Aが2割、B、Cが6割、Dが2割という比率になるという。Dランクの対象者は部門長と話し合って6か月の達成目標を設定する。つまり、半年間のチャンスを与え、達成できなければ退職勧奨し、辞めてもらうというシステムとのことです。

外資系企業では成果が厳しく問われる。そして評価結果を部下に説明するために上司は日頃の部下の行動を徹底してチェックしている。

日本で導入が検討されている「ホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の適用除外制度)」の狙いも、残業代の削減だけではなく、成果主義の強化によって優秀な社員とそうでない社員を選別していくことにある。そうなると、今までのように曖昧な評価は許されなくなる。

仮に外資と同じような評価の仕組みが日本企業でも浸透すれば、貢献度の低い社員がいつまでも滞留することは会社にとって悪影響を及ぼすと考えるようになる。そのときに使われるのが「PIPを駆使した常時リストラ」ということになる。

会社の業績が良いから大丈夫だろう」と言っていられなくなる時代がすでに訪れている。「自分磨きをして、自分自身の付加価値をいかに高めるか」。もはや、社内で仕事だけしていればハッピーな時代は終わったといえるかもしれない。

 

 

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