経営のスピードが企業の命運を左右する!

時代の変化のスピードは「Dog year」から「Rabbit year」へ、そしてさらに加速している。

米国のゼネラル・エレクトリック(以下、GE)が経営戦略を大転換するそうだ。

GEといえば現代の経営革新の代表的企業で1990年代に家電から金融事業への大改革を行った前任CEOのジャック・ウェルチで有名。日本ではソニーや日立などが後に続いた。

 あれから約20年、新しい改革に踏み切るらしいが、その内容に驚いた。一時は「革新性の象徴」ともてはやされた金融事業を大幅に縮小し、モノづくりへの回帰を進めるという。

 

これまで事業を大胆に転換しながら、成長を維持してきたGE。創業から124年目のリノベーション(革新)が目指す先は何か。

 510日のに電話会見を通じで日本のマスメディアに、最高経営責任者CEO)のジェフ・イメルトが語った内容とは・・・。

 かつて稼ぎ頭であった、金融子会社のGEキャピタルが保有する不動産関連資産を265億ドル(約3兆2千億円)で売却。昨年末時点で40兆円を超の金融の資産規模は、今後2年間で一気に4分の1の10兆円へ圧縮する。

 航空機リース、医療機器への融資など本業の産業分野に関係が深いものを除き、金融事業は原則として廃止するという。

金融事業拡大の旗振り役だった前CEOのジャック・ウェルチウェルチによれば「ゲームのルールは変わってしまった」。

 

 今回の転機は20089月のリーマン・ショック。直後の金融危機で、GEは窮地に陥った。信用収縮で1千億ドル超の残高があったコマーシャルペーパー(CP)の借り換えが目詰まりした。

 同社はトリプルAの格付けから陥落し、70年ぶりの減配に追い込まれた。2007年に営業利益の6割を稼ぎ出した金融は、一転してお荷物へ。GEは高い信用力で調達した低コスト資金を、企業や個人に幅広く貸し付け、利ざやを稼いできた。しかし、超低金利時代に低コストの資金調達力の優位性も薄れた。

 それでも金融は営業利益の4割を稼ぐ「カネのなる木」。それを捨てる決断ができたのは、本業の産業部門に絶対的な競争力があるからだ。

徹底した「選択と集中」で火力・原子力をはじめとした電力、航空機エンジン、医療機器など世界シェア1位の製品を数多く持つ。製品に組み込むセンサーやソフトから膨大なデータを収集・解析し、顧客に部品交換を促すなどサービスの先進性でも競合他社の先をいく。

 それでも競争環境は厳しさを増す。

 (1)「三菱重工業と日立製作所の統合会社は強力なライバル」。GEの代名詞であるガスタービンの開発では、日本の2社の火力事業統合に神経をとがらす。「GE・イズ・スタンダード」(GEこそ標準)と公言し、時に自社製タービンに合わせて発電所の設計変更すら迫ってきた傲慢さは影を潜めた。

 (2)産業分野の大半で競合する独シーメンスは米市場への攻勢を強める。中国勢も台頭し、価格競争力を武器に存在感を高める。昨年、仏アルストムのエネルギー部門の買収合戦で、仏政府の意向を受け入れて完全買収を諦め、合弁設立などにとどめたのも、三菱重工やシーメンスには渡せないという危機感の表れだった。

 

「GEの将来は産業分野にある」と断言するCEOイメルト氏。

 金融の収益の穴を埋め、一段の成長シナリオを描けるか。その姿は製造業回帰を掲げる米産業界とも重なり合う。

 

時代のキーワードは、スピード経営。時代の変化に適応するために、『変われるかどうか』が企業の命運を握る。そして、このことは個人のキャリア形成などにも大いなるヒントを与えてくれている。「いまうまくいっているから、変わる必要がない・・・」、「今はこのままでいい」といった感覚は危険なシグナルだと思うべきだあろう。

我々も変わろうではないか・・・

 

坂田 貴和

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