6月の風の便り

今日から6月です。新緑の季節から夏へ向かっていきます。夏のボーナス時期がやってきます。第一生命経済研究所は、民間企業の2024年夏のボーナス一人当たり支給額を前年比+3.3%(41.0万円)と予想する(毎月勤労統計ベース)。22年夏(前年比+2.4%)、23年夏(前年比+2.0%)に続いて3年連続で高い伸びを予測しています。4月8日に厚生労働省から公表された23年冬のボーナスは前年比+0.7%と小幅な伸びにとどまっていたが、24年夏のボーナスも好調な企業業績を背景に増額が見込まれます。

2023年度の経常利益は前年比+6.9%と増益でした(日銀短観、全規模全産業ベース)。価格転嫁を積極的に進めたこともあって企業業績は底堅く推移しています。企業の従業員への還元余力は十分あるため、企業は賞与の引き上げに踏み切ることが予想されます。加えて、物価高への配慮や人手不足感の強まりもボーナスの引き上げに寄与すると思われる。賃上げが物価上昇に追い付かない状況が長期化していることへの問題意識は高まっており、企業も物価高への配慮を行わざるを得ないことに加え、人手不足感が強まっていることも人材確保の面から賃上げに繋がっており、実際、24年春闘では賃上げ率が5.24%(連合調査、第3回)と非常に高い伸びとなっており、事前の予想を大きく上回る賃上げが実現したとみられます。こうした賃上げを受け、今後、所定内給与の伸びが高まることが予想されることに加え、ボーナスの増加も賃金の押し上げに寄与する。足元で名目賃金の伸びは前年比+2%程度で推移していますが、24年度は上昇率が明確に高まる見込みです。

もっとも、物価上昇による実質購買力の抑制が消費の頭を押さえる状況は変わりません。6月は再エネ賦課金の引き上げや電気代、ガス代の負担軽減策の終了でエネルギー価格が上昇することに加え、円安や原油高によるコスト上昇分の価格転嫁が行われることもあり生活は厳しさを増しています。名目賃金の上昇率拡大により実質賃金は24年7-9月期にプラス転化し、消費を支えるとみられていますが、物価上昇の影響で実質賃金の増加幅は限定的なものにとどまる可能性が高い。個人消費は持ち直しが見込まれていますが、回復ペースは緩やかなものにとどまると予想されています。


ライフマネジメント研究所

代表 坂田嘉一

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