7月の風の便り
今年も折り返しの月7月になりましたが、この半年はロシアのよりウクライナ侵攻が最大の事件でした。現在も停戦合意には至っていません。そして昨年以来続いている資源価格の高騰にも拍車がかかっています。ガソリンも政府の介入で消費者価格は抑えられているものの、実際は1リッターあたり200円を超えているようです。
さらに気になるのが株式相場。3月の米国の利上げ以降株式市場は下落を続けています。米国株式市場は完全に調整局面入りしていて調整は長引くと思われます。相場は完全に崩れています。米国株への直接投資はしばらく控えた方がいいでしょう。
一方の日本ですが、ゼロ金利政策継続の中にあって、今後諸物価の上昇が確実視される状況です。つまり現金は目減りしていくのは必至の情勢です。株式相場はその時の地合いやムードで上げ下げを繰り返しますが、絶対的な割安、割高は時間の経過と共に修正されるものです。日本企業は株主還元を増やす傾向で、高配当株が続出しています。 本来、株式投資はインフレで目減りする現金より有利な投資対象と思います。現在の日本株を見ると、安いと思われますが、「安く買える」とポジティブに考えて、こちらはじっくり投資しておくべき局面でしょう
株価に影響を与える債券相場ですが、米国債 10 年物、米国の長期金利は、一時 3.5%に迫りっています。米国の長期金利は、秋には 4%に乗せるとみています。それが株式相場の波乱要因になるとみています。 日本の金融機関は米国債や欧州債を大量に保有しています。これらの国債は膨大な評価損となっているはずです。いずれ日本だけでなく、各国の金融機関の問題が表面化してくる局面が訪れるでしょう。 また、ユーロ圏のインフレ率は米国と同じく深刻であり、ECB は利上げを急ぐと思います。 日本国債10年物、日本の長期金利は0.25%に釘付けされています。日銀は連日、大量の買い付けを行なっており、当面はその強引な買い付けが功を奏すると思います。
そして秋以降に大きな問題が待っています。秋から来年にかけて世界規模の天候不順からくる「世界的な食糧不足」です。この影響で日本でも本格的な物価上昇が起こる可能性がありそうです。既に春から食料品の値上げは始まっていますが、それがさらに加速するということです。日銀のイールドカーブコントロール政策(※)もこのままだと破綻に向かう可能性もあるかもしれませんので要注意です。
どうも2022年は「忍ぶ年」になりそうです。夏のボーナス時期ですが、今年の財布のひもは固めにしておきましょう。
2022年7月1日
ライフマネジメント研究所 代表坂田 嘉一
※イールドカーブ・コントロール(長短金利操作)
イールドカーブ・コントロールとは長短金利操作とも呼ばれ、長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、イールドカーブを適切な水準に維持することを指す。2016年9月の日銀金融政策決定会合で日銀が新たに導入した政策枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の柱のひとつ。2016年1月から始めた短期金利のマイナス金利政策に加え、10年物国債の金利が概ねゼロ%程度で推移するように買入れを行うことで短期から長期までの金利全体の動きをコントロールすること。日銀は指定する利回りで国債買入れを行う指値オペレーションを新たに導入するとともに、固定金利の資金供給オペレーションの期間を1年から10年に延長することによりイールドカーブ・コントロールを推進する。